平成22年度の活動

  • 自立に向けた生活向上支援事業
  • 22年度はフィリピンケソン州ナカル・カタブリンガン村における農園開設・運営による収入向上支援事業を継続して実施しました。また、農園のある地域で少しずつ交流を図っているが、来年度は農園を拠点に生活環境改善に貢献できるコミュニティー形成に向けて、さらに周辺の居住者、農民に積極的に働きかけていく計画である。

  • 農園開設・運営事業
  • 4月
  • 農地用の造成地に土壌改良を主目的にピーナッツの植え付けを行った。
  • 6月
  • 貯水池建設のため、候補地3カ所の潅木の伐採、下草や蔓払いなどを実施。カウンターパートのナカル農民組合リーダーと現地スタッフを交え、立地条件、池の大きさ、予算、スケジュール等の検討を行う。
  • 8月
  • ピーナッツを収穫。6袋(1袋12〜13kg)を収穫し4袋を販売。2袋は小粒で販売できなかった。
  • 9月
  • 貯水池の工事に着手。工事は隣接する部族に発注。部族のリーダーの1人を責任者として、すべて任せることに決める。貯水池の大きさは6m×6m、深さ1.5m、地上50cmとした。
  • 土壌専門家の技術指導のもと、鶏糞、わら、米殻、落葉、枯葉、炭殻など農園周辺で入手できる有機材料による肥料づくりを行った。
  • 10月
  • 貯水池完成。取り決めどおりの貯水池となっている。
農園に植えたピーナッツ(左)とピーナツ収穫後の畑(右) 収穫したピーナッツ 完成した貯水池
  • 11月
  • 熱帯果樹専門家の指導のもと、緩傾斜地に果樹、カラマンシー21本、ロックバン(ポメロ、和名:分担)22本の苗木、計43本を植樹。植樹に当たっては、苗木と苗木の間隔、植える穴の大きさ、深さ、肥料について、専門家と現地スタッフがカウンターパートのナカル農民組合リーダー及び南ルソン大学農学部学生8人に指導を行った。肥料には、9月より熟成させていた有機肥料を使用した。
  • フィリピンでの無農薬栽培技術の調査のために、フィリピン大学農学部植物育種研究所を訪問。フィリピン大学農学部はつくば学園都市に匹敵するほどの敷地があり、無農薬栽培の実験地にはさまざまな野菜品種が植えられていた。農学部教授及び研究員の案内で試験地、グリーンハウスを視察し、害虫防止効果が期待できる野菜の混植や害虫に強い品種などの教授を受けることがでた。果樹の専門家の引率で、果樹実験地の視察も行った。この視察には、ナカル農民組合リーダー、現地スタッフのほか南ルソン州立大学農学部学生4名が同行。
  • 耕作地での栽培については、カウンターパートのナカル農民組合ナカル農民組合と協議し、南瓜、生姜、サツマイモを作付けし、翌年の5、6月に収穫する予定で進めることに決まる。収穫量の目標を南瓜400kg、生姜300kg、サツマイモ100kgと設定。
  • マニラにあるグリーンマーケットで、外国産果樹のライチ、マンゴスチンの苗木を各3本を購入。農園に植樹した。ライチ、マンゴスチンともにフィリピンでは高級果樹で、農園のあるナカル・カタブリンガン村の気候・風土に適していれば、地域の特産品となり、収入源となることも期待できる。

  • 平成23年2月
  • 土壌改良用肥料作成の技術を移転する目的で、炭焼き・堆肥作成のワークショップを開催。
    1日目:南ルソン大学大教室で農学部学生59人に、熱帯果樹専門家の大東氏と現地スタッフにより、土壌改良用堆肥の作り方と炭焼き技術と炭の効用について講義を行った。
    2日目:農園で炭焼きと堆肥造りのワークショップを実施。午前中は炭焼き実習、午後は堆肥造りの実習を行った。参加者は大学生21名、支援農民9名の計30名。この日のワークショップにはJICA関係者4名も参加した。
  • 11月に植樹したカラマンシー、ロックバン(ポメロ)と、試験的に植栽している マンゴスチン、ライチともにすべて活着し、現在、順調に成育中である。
ボランティアの大学生が参加して果樹の苗木を植え付け フィリピン大学農学部植物育種研究所
温室(赤いシャツの女性が教授)
フィリピン大学農学部植物育種研究所
果樹専門家(センター)
講議する大東氏 講議を聞く農学部学生 ワークショップ(有機材料を使った堆肥づくり)
  • 植林及び環境保全事業
  • フィリピン共和国ケソン州ナカルで植林及び環境保全事業を実施。農園開設地周辺および災害荒廃地にピリ、ナラの苗木を植林する事業は、本年で4年目となる。
    6月中旬、農園周辺の植林地を整備し、3日かけてピリ、ナラの苗木を植林しました。 9月には農園周囲にニームを植林する予定でいたが、苗木を入手できずニームは来年度に実施することにした。
  • 11月には潅木の伐採、蔓払いなどの作業を行った。この作業にはボランティアとして南ルソン大学農学部学生8人が参加した。 また、大学生より寄贈されたニームと近隣の小学校生徒からプレゼントされたナラ24本の苗木を農園周囲に植林した。
    11月には育苗場建設のための準備を行い、潅木を伐採して建設予定地の整地化を実施した。
  • 平成23年度は5年目も引き続き植林の予定で、育苗場を建設してニームの苗木を育てるほか下草刈りなど、植林地の手入れも実施する。また、ワークショップを開催してニーム樹種についての普及啓発を行い、農園周辺にニームを植林する計画である。
下草刈り ピリ苗木 植林中 下草刈り後に、苗木を植林
近隣の小学校から生徒が苗木を手に農園を訪問 ボランティア学生による潅木の伐採と蔓払い
  • 教育支援事業
  • ナカル・カタブリンガン村にある農園から徒歩15分(約1キロ)のところに小学校がある。この小学校に備品やテキストなどの支援を図り、文房具やタオルなどを定期的に届けてきた。
    今年度は子供たちを支援するTシャツを制作・販売。また、ホームページでボランティとして現地を訪問を呼びかけ会員が1人参加した。Tシャツ販売、ボランティアツアーで得た資金で事務用品のほか生徒たちが歓喜する甘い菓子を購入してプレゼント。特にクリスマス直前にチョコレートをプレゼントしたが、その返礼として24人の生徒が苗木を手に手に農園を訪問した。ファシリテーター(代用教員)の指導のもと、それぞれが持参した苗木を植えてくれたが、農園には子供たちの歓声が響き渡った。
  • 今後も辞書やカラー写真入り図鑑などを寄贈するなどで、教育支援できるよう事業計画を立てている。
寄贈した文房具(一例) 会員より校長へ 小学校(S.P.A.) 小学校外観