活動実績

• 土壌・水質調査
• ケソン州インファンタで土壌・水質調査を実施。フィリピンはかつて国土の70%が森林でしたが、現在は30%にも満たないといわれます。インファンタも例外ではなく、その原因として輸出用に樹木を大量に伐採したこと、また自作農地を持たない農民による焼畑や火入れなどによる消滅があげられています。 また、樹木が減少し草地と化しているため「水」が大きな問題になっています。まず、山地の保水機能が低下したため「水」の確保が難しく、反面、台風シーズンには豪雨による土砂崩れや洪水が発生しています。このような課題に対処するには、樹木による保水、環境保全機能を新たにし、 樹木、水、土の関連を巧みに利用した循環型農林業の確立に 取り組む必要のあることが調査報告されています。

• 炭焼き技術移転事業
• ケソン州はマニラ東北東の沿岸地域に位置しています。気候は海洋性で、内陸部に較べて乾季と雨季の差がそれほど激しくなく、台風シーズンを除いては比較的穏やかです。ケソン州の中心地インファンタの人口は2万5000人で主な産業は椰子の採取、稲作、沿岸漁業です。
  ケソン州では、特に山村部では現在も炭が家庭用燃料として使われています。炭は従来からの「伏せ焼き式」という、地面に穴を掘りそこに材料を入れて蒸し焼きにする方法で作られています。しかし、この方式は生産性が低く、また材料は付近の雑木を利用します。
  そこで、豊富にあるヤシ殻を材料とした炭窯の建設を提案し、日本の炭焼き専門家の支援を受け、平成12から14年の2年間に、ケソン州ジェネラルナカルに２基、インファンタに１基、ポリロ島に１基を完成させました。平成15年に大型台風がケソン州を襲い、残念ながら現在炭窯は壊滅状態にあります。

• 技術者の育成のための研修
• 技術者育成のため、日本人専門家による炭焼きの指導を、ジェネラルナカル、インファンタ、ポリロ島で行いました。 現地でのセミナー開催のほかナカル及びインファンタの農業技術者４人に日本で炭焼き研修を受講してもらい、循環型森林技術の視察も行いました。 現在では技術者として育ち、フィリピン各地の市役所やNGO組織から炭焼き指導の要請に応えてきました。 炭焼き技術の普及は当協会としても歓迎すべきことであり、派遣先までの交通費などを中心に活動経費を支援しています。

• 足尾銅山の森林再生を図る調査・研究事業
  
• 栃木県足尾銅山は銅精錬のため排出された煤煙（亜硫酸ガス）により禿げ山となり、 土壌が酸性化したところにはいまだ樹木が育っていない（写真左下）状況です。炭は酸性土壌を中和し、 微生物を活性化する働きがあることに注目し、炭による土壌改良を行い、また酸性土壌に強い樹種の研究、 在来樹種のヤシャブシやリヨウブの適性、ブルーベリーの植林の可能性などの調査を実施しました。 調査は東京農工大農学部の研究室が当たり、協会はその進行役を務めました。

• 水源林の植林事業
  
• ケソン州インファンタの水源林に、平成14年より５ヶ年計画で植林事業を実施。 現地のNGO組織インファンタ開発協議会（ICDAI）と共同で、マホガニー、ナラ、ピリの苗木を植林しました。植林地には土壌改良剤として、当協会が建設した窯で作った炭を使用しました。

• 養蜂事業
  
• 平成17年度に日本人養蜂専門家による調査を実施したところ、ケソン州インファンタで販売されていた蜂蜜の純度が低く、また養蜂技術も十分でないことが報告されました。 一方で、気候・地域環境は養蜂に適していることも分かり、フィリピン大学農学部の養蜂研究所から３人の講師を招き、ケソン州ナカルで３日間、蜂の種類の特定、巣箱作り、蜜採取のセミナーを開催しました。養蜂は貴重な現金収入をもたらす事業ということもあり、セミナーには５０人もの農民が参加しました。現在ケソン州ナカルに農園を造成中ですが、この一画で養蜂を行う予定で進めています。

• マングローブ保全事業
  
• インドネシア・東ジャワ州海岸地域に植生するマングローブ林（写真左）は魚付林 としての機能を持ち、 カニやエビ、小魚を育てる最適な環境を生みだします。ところが近年、マングローブを伐採し そこにカニの養魚場を設け、泥水化して養殖できない環境になると放置されています（写真中・右）。このような 養魚場跡地にマングローブ林を植林する活動が、地元のボランティア組織を中心に始まっていますが、当協会は、ボランティア組織AKIN（ANEKA KAYU INDAH NUSANTARA）からの要請を受け、 平成19年にプロジェクト形成調査を実施しました。